こんにちは。Core mのパフォーマンスが気になりだした岩崎です。
薄型軽量モデルが次々と発表されている今日この頃。よくよくスペックを見てみると、Core iではなく、消費電力が抑えられた Core mの採用が目立ちます。
コンシューマ向けでは問題なさそうですが、ビジネスシーンで活用することは可能なのでしょうか。基本性能、メモリ、グラフィックス、ベンチマーク結果の 4つの軸から、Core mプロセッサ(Skylake)の実力を比較検討したいと思います。
数値だけをみても判断しにくい部分もあるため、愛用 VAIO Pro 11と比較することで、その性能差を比べてみたいと思います。
搭載されているのは 2世代前(Haswell Refresh)の Core i5 ですが、以下の作業を 支障なく行えています。仮想ウインドウを 3つ活用し、仕事, Blog, 臨時作業で使い分け。
Chromeには、常に 30~50個のタブ。100ページを超えるpptや Excel PDFを複数開きつつ、平行して Photoshopで簡単な画像編集や コーディングを実施。
主に Web界隈の方をターゲットとしていますが、同様のパフォーマンスが Core mでも出せるのであれば 充分な選択肢となりそうです。
基本性能は m5でも遜色なし
まずは、基本仕様やパフォーマンス周りの仕様を確認。
比較対象は Core i5と、Core m全ファミリー(m7, m5, m3)。
- 14nmプロセスの影響は大きい。これだけでパフォーマンスと消費電力の改善が見込めます。
- キャッシュメモリ 4MBと増量。
- 周波数も m5以上であれば現状の VAIO Pro同等以上。
アーキテクチャそのものが改善されている為、クロックあたりの命令実行数も向上しています。
同クロックでも より高いパフォーマンスを発揮できると考えれば、m5でも充分なパフォーマンスは得られそうです。
Processor Number | i5-6440HQ i5-6300HQ | i5-6300U i5-6200U | m7-6Y75 | m5-6Y57 m5-6Y54 | m3-6Y30 | i5-4210U (参考) |
---|---|---|---|---|---|---|
シリーズ | Core i5 | Core i5 | Core m7 | Core m5 | Core m3 | Core i5 |
開発コード名 | Skylake | Skylake | Skylake | Skylake | Skylake | Haswell |
発売日 | Q3 2015 | Q3 2015 | Q3 2015 | Q3 2015 | Q3 2015 | Q2 2014 |
リソグラフィ | 14nm | 14nm | 14nm | 14nm | 14nm | 22nm |
キャッシュ | 6 MB | 3 MB | 4 MB | 4 MB | 4 MB | 3 MB |
コア数 | 4 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
スレッド数 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
周波数 | 2.6 GHz 2.3 GHz | 2.4 GHz 2.3 GHz | 1.2 GHz | 1.1 GHz | 900 MHz | 1.7 GHz |
周波数 Turbo | 3.5 GHz 3.2 GHz | 3 GHz 2.8 GHz | 3.1 GHz | 2.8 GHz 2.7 GHz | 2.2 GHz | 2.7 GHz |
TDP | 45 W | 15 W | 4.5 W | 4.5 W | 4.5 W | 15 W |
メモリなどは各社の構成次第
次は メモリ・拡張オプションまわり。
- メモリ帯域幅(データ転送速度)が向上。
- PCIeレーン数が少ないですが、リビジョン数が向上しており 全体的なパフォーマンスは VAIO以上。
こちらも 一通りの項目で VAIO Proを上回っていますが、あくまでも対応範囲であるため 実際のパフォーマンスは各社の構成次第となります。
Processor Number | i5-6440HQ i5-6300HQ | i5-6300U i5-6200U | m7-6Y75 | m5-6Y57 m5-6Y54 | m3-6Y30 | i5-4210U (参考) |
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シリーズ | Core i5 | Core i5 | Core m7 | Core m5 | Core m3 | Core i5 |
メモリー MAX | 64 GB | 32 GB | 16 GB | 16 GB | 16 GB | 16 GB |
└ DDR4 | 2133 | 2133 | - | - | - | - |
└ LPDDR3 | 1866 | 1866 | 1866 | 1866 | 1866 | 1333 / 1600 |
└ DDR3L | 1600 | 1600 | 1600 | 1600 | 1600 | 1333 / 1600 |
└ 帯域幅 MAX | 34.1 GB/s | 34.1 GB/s | 29.8 GB/s | 29.8 GB/s | 29.8 GB/s | 25.6 GB/s |
PCI Express | 3.0 | 3.0 | 3.0 | 3.0 | 3.0 | 2.0 |
└ レーン数 | 16 | 12 | 10 | 10 | 10 | 12 |
グラフィック機能は ほぼ一律
CPUのパフォーマンス以上に見逃せないのが グラフィックス性能(GPU)。
GPUを利用するソフトウェアも増えてきたため、通常利用の範囲でも恩恵を受けやすく 体感速度にも大きく影響します。
- Core mでは、一律 HD Graphics 515が採用されているため、モデルによる性能差は低め。
- メモリ帯域幅の向上 & アーキテクチャの改善で、m5でも VAIO Pro以上のパフォーマンスは発揮できそう。
快適な VAIO Proですが、グラフィック性能に関しては 少し物足りない部分がありました。特に高解像度のモデルになる場合は、少しでも高速な m7を選択しておきたいところです。
Processor Number | i5-6440HQ i5-6300HQ | i5-6300U i5-6200U | m7-6Y75 | m5-6Y57 m5-6Y54 | m3-6Y30 | i5-4210U (参考) |
---|---|---|---|---|---|---|
シリーズ | Core i5 | Core i5 | Core m7 | Core m5 | Core m3 | Core i5 |
帯域幅 MAX | 34.1 GB/s | 34.1 GB/s | 29.8 GB/s | 29.8 GB/s | 29.8 GB/s | 25.6 GB/s |
HD Graphics | 530 | 520 | 515 | 515 | 515 | 4400 |
└ 周波数 | 350 MHz | 300 MHz | 300 MHz | 300 MHz | 300 MHz | 200 MHz |
└ 周波数 MAX | 950 MHz | 1 GHz | 1 GHz | 900 MHz | 850 MHz | 1 GHz |
└ メモリ MAX | 1.7 GB | 1.7 GB | 1.7 GB | 1.7 GB | 1.7 GB | 1.7 GB |
4K サポート | 60Hz | 60Hz | 60Hz | 60Hz | 60Hz | - |
DirectX 対応 | 12 | 12 | 12 | 12 | 12 | 12 |
OpenGL 対応 | 4.4 | 4.4 | 4.4 | 4.4 | 4.4 | 4.3 |
ベンチマークによる比較
各グラフィック性能を より具体的に比較するため、ベンチマーク結果の比較グラフを作成しました。
モバイルノート向けの グラフィックス プロセッサーは、HD Graphics 530/520/515の 3種類。それらに VAIO Proの HD Graphics 4400を比較しています。
Core mに一律採用されている HD Graphics 515でも、VAIO Proより高いスコアを叩きだしています。この値なら満足とは言いがたいですが、これが 4.5Wの TDPで実現しているところを考えれば充分な数値です。
まとめ
結論としては、Core mでも パフォーマンスを落とすことなく仕事ができることが分かりました。
見劣りする項目もあると予想していましたが、全項目において VAIO Pro(2世代前の Core i)を上回っており、冒頭で記載したような業務であれば支障はなさそう。特にグラフィック面の性能アップによって、体感速度も向上すると思われます。
もちろん、爆速か?と言われれば苦しいところですが、少なくとも冒頭に記載したような業務であれば問題なし。なにより 4.5Wという TDPを活かし、コンパクトで長時間利用できるバリューに注目すべき CPUです。
尚、プロセッサ自身のパフォーマンスはあるものの、体感速度は メモリや SSDなどにも大きく影響されます。実際に搭載されるメモリ数など ハードウェア構成は充分に検討した上で購入しましょう。