広角レンズが欲しくなり、お手ごろ価格で購入した「XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」ですが、予想以上に活用しています。
もちろん価格ならではの写りではありますし、どうしても明るさや収差が気になってしまいがちですが、レンズの癖を理解し始めると回避できる部分が多いです。
ズームレンズとしての万能性を求めてしまうと欠点が目立ってしまいがちですが、広角レンズとして捉えると魅力的なレンズに見えてるかと思います。
作例からみるレンズ特性
何がともあれ、まずは作例を見ていただくのが早いかなと。
全て手持ち撮影。基本は JPEG撮って出しですが、一部明るさを整えている画像があります。
レンズの特徴などは 下記の記事にまとめてありますので参考ください。
関連記事: レンズ レビュー
お手ごろ価格だったので 勢いで XC15-45mmを購入してきた
開放での撮影。
中央はしっかりと解像していますが、周辺は流れており、色収差も目立ちます。
非球面レンズや EDレンズを採用しているとはいえ、小型化と低価格化が影響していることは否めません。
望遠側で撮影するも f/5.6までしか開放できず、被写体が際立ちません。
ボケも上品ではなく、より騒がしい感じが目立ってしまいました。
望遠側(テレ側)で撮る場合には、「もう少し明るければ…」と感じることが多かったです。
収まるかな?と思いながら構えてみると、しっかりと収まってくれる安心の画角。
大人よりも大きい “よさこい旗”も、最前列から無理なく収まります。超広角でもないので、パースがキツ過ぎる感じもありません。
逆光ですが、目立ったゴーストなどもなく良好です。
レンズ先端から 5cmまで近づくことができるので、純豆腐チゲも美味しく撮影できました。
45mmまでいけるので、さらに寄れます。
玉ボケは輪郭が強調気味で、形も少し悪いです。特に前ボケがボツボツして美しくないですが、価格を考えれば許容範囲でしょうか。
完全に開放しきってみたのですが、距離によってはボケもこの程度。
滑らかにボケない影響で、奥のタレ(ジェレ)が、粒々のような写りになってしまいました。開放しすぎた影響か、中心部においても収差らしきものが出てしまいました。
ただ、ピントが合っている手前のマヨネーズやネギのみずみずしさは綺麗に描画されており、拡大して見なければ許容範囲です。
望遠側は 45mm(35mm判換算 69mm相当)なので、いざとなれば被写体に近づくことで、大きくぼかすことは可能です。
明るさが足りない上に、開放すると画質が落ちてしまうため、夜景の撮影には不向き。
50枚くらい撮って、ブレずに撮れた写真は数える程度。
アドバンストSRオート(全自動)の場合は、ISOがドンドン上がってしまい、1600や 3200の写真が量産されます。
しっかり構えず、歩きながら撮影した 1枚。
広角なのでパンフォーカスよりという面もありますが、手ぶれ補正もあって ブレている様子はありません。
建物の外装タイルも細かくしっかりと描画されています。f/8.0まで絞ることで、周辺での流れも 随分と目立たなくなります。
Y!mobileの看板が印象的で、思わずパートカラーで撮影しても面白いシーンですが、今回は作例のために Velviaで撮影。
15mmなので多少の湾曲は発生しますが、特に気になるほどではありません。
解像度も良く、3万円のレンズであることを感じさせないシャープさです。
夕暮れ時の数寄屋橋交差点。
だいぶレンズの癖も分かってきたところで、撮影した 1枚。
f/8.0に絞ることで、良く解像された撮影が行えました。
広角レンズらしい写真も追加。逆光耐性もみたく、フレーム内に太陽を入れています。
多少のフレアは発生しますが、価格や使いやすさを考えれば、許容範囲ではないでしょうか。
こちらも、あえて太陽をフレーム内に入れています。
f/4.5まで絞っていますが、晴天だったこともあり 色収差が目立つ上に、光芒の形の悪さや周辺の流れも気になるところ。ただ、主な用途が SNSであれば、十分対応できる画質です。
利用してみての感想
作例の通り 開放時の収差が大きいため、開放して撮影するのは避けた方が良さそうです。
そもそも明るいレンズではないこともあり、ボケを活かすような撮影には不向き。ボケの形も上品では無いので、ワイド側メインで利用することが多かったです。
- 開放で利用すると収差が目立ちやすい
- 手ぶれ補正は強力ではないが、無いよりは安心
- パワーズームは慣れたら問題なし
- フォーカスリングが軽すぎる
心配していたパワーズームは、1日で慣れてしまいました。
ズームリングの傾け具合によって 2段階で速度が変わるので、速度への不満は解決。いま 何mm相当の画角なのか?が数字で見ることができませんが、慣れてくると感覚で分かるようになってきます。
ただ、3万円前後という価格を考えると、妥協範囲。いずれもレンズの癖を理解すれば回避できますし、充分なパフォーマンスは出ていると感じます。
唯一気になったのは、フォーカスリングの軽さ。あまりの軽さに、構えるときにフォーカスを外してしまうことが多かったです。マニュアルで利用するレンズではなさそうです。
広角レンズとしての選択肢
ズームレンズなので、広角から望遠まで万能的に利用することを期待したい XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ。
しかし、解放時の収差が大きく、広角レンズとして利用する機会が多かったです。
15mmまで広角なレンズが不要な場合は、標準ズームレンズ XF18-55mmF2.8-4 R LM OISの方が画質も優れ、便利であることは間違いないです。
このレンズの特徴は、なんといっても「手頃な広角レンズ」という点ではないでしょうか。
現在のラインナップで 15mm(35mm判換算 23mm相当)まで広げることができるレンズは限られており、単焦点レンズを含めても、価格や大きさに手頃なレンズがありません。
型番 | 定価 | Amazon価格 |
---|---|---|
XF14mmF2.8 R | ¥112,000 | ¥69,174 |
XF16mmF1.4 R WR | ¥149,000 | ¥104,800 |
XF16mmF2.8 R WR | ¥55,000 | ¥48,114 |
XF8-16mmF2.8 R LM WR | ¥277,500 | ¥225,355 |
XF16-55mmF2.8 R LM WR | ¥162,000 | ¥102,434 |
XF10-24mmF4 R OIS | ¥131,000 | ¥89,053 |
XC16-50mmF3.5-5.6 OIS II | ¥49,000 | ¥31,000 |
XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ | ¥41,500 | ¥30,024 |
関連記事:
Xマウントレンズの ロードマップに 発売日と価格を追記しました(2020年版)
その点 XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZは、価格が安い上に 135gという軽量コンパクトな設計で、全ラインナップから見ても唯一無二の存在。
広角側メインで利用するのであれば F3.5-5.6でも支障はないですし、実は広角レンズとして検討することで、魅力的に写るレンズなのかも知れません。
普段は XF35mmを利用していますが、ちょっとしたスナップなどで広く撮りたいときに便利。かさばらないので、とりあえずカバンに入れておくのに最適なレンズです。