ついに発表された Surface Go 2。
今回も、Wi-Fiと LTEのモデルが登場するようですが、性能が大きく異なります。
これまでのモデルは どれらも同じ CPUでしたが、新しい Surface Go 2には、LTEモデルのみに Core M シリーズが搭載されています。
Wi-Fi版に搭載されている Pentium Gold シリーズは前モデルと大差ないため、割高な価格で中途半端なモデルを購入することになります。
具体的にどれほどの性能差があるのか。いかに LTEモデルが優れているのかを紹介していこうかと思います。
もくじ
まずは「各モデルの違い」を確認。スペック表やベンチマーク結果などを交えながら、LTEモデルを選択する理由をお伝えできればと考えております。
旧モデルとの比較
まずは、旧モデルとの仕様を比較してみます。
スペースの関係で 真ん中のモデル「4425Y/8GB/128GB」を省略していますが、Core M プロセッサが搭載されているのは、LTEモデル(右側)のみとなります。
製品名 | OLD Surface Go | OLD Surface Go | NEW Surface Go 2 | NEW Surface Go 2 |
---|---|---|---|---|
公式価格 | ¥ 59,180 (税込) | ¥ 78,980 (税込) | ¥ 65,780 (税込) | ¥ 107,580 (税込) |
CPU | Pentium Gold 4415Y | Pentium Gold 4415Y | Pentium Gold 4425Y | Core m3-8100Y |
GPU | HD Graphics 615 | HD Graphics 615 | UHD Graphics 615 | UHD Graphics 615 |
メモリ | 4GB | 8GB | 4GB | 8GB |
ストレージ | 64 GB ( eMMC ) | 128GB ( SSD ) | 64 GB ( eMMC ) | 128GB ( SSD ) |
ディスプレイ | 10 ″ | 10 ″ | 10.5 ″ | 10.5 ″ |
解像度 | 1,800 x 1,200 px | 1,800 x 1,200 px | 1,920 x 1,280 px | 1,920 x 1,280 px |
カメラ | 5.0MP front 8.0MP rear | 5.0MP front 8.0MP rear | 5.0MP front 8.0MP rear | 5.0MP front 8.0MP rear |
マイク | モノラル | モノラル | ステレオ | ステレオ |
ワイヤレス | Wi-Fi 5 Bluetooth 4.1 | Wi-Fi 5 Bluetooth 4.1 | Wi-Fi 6 Bluetooth 5.1 | Wi-Fi 6 Bluetooth 5.1 |
NFC | × 非対応 | × 非搭載 | ○ 対応 | ○ 対応 |
駆動時間 | 最大 約 9 時間 | 最大 約 9 時間 | 最大 約 10 時間 | 最大 約 10 時間 |
サイズ | 245 x 175 x 8.3 mm | 245 x 175 x 8.3 mm | 245 x 175 x 8.3 mm | 245 x 175 x 8.3 mm |
重量 | 522 g | 522 g | 544 g | 544 g |
画面サイズが大きくなり、周辺の太いベゼルが緩和されたことにより、見た目のバランスが随分と垢抜けました。
しかし、外観の違い以上に、内部の変更に注目。
これまで Pentium Gold シリーズに留まっていた CPUが、LTEモデル “のみ” Core M シリーズが採用されました。
これにより バッテリーの消費を抑えながらも、64%の性能向上を実現しています。
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数字で見る Core M プロセッサの魅力
ついに搭載された Intel Core M プロセッサ。
この章では、Core M プロセッサが どれほど優れているのかを、仕様とベンチマーク、2つの観点からご紹介します。
多くの点で優れる Core M プロセッサ
まずは、Pentium Gold プロセッサとの仕様を比較してみましょう。
Pentium Gold 4415Y | Pentium Gold 4425Y | Core m3-8100Y | |
---|---|---|---|
搭載モデル | Surface Go 1 | Surface Go 2 (Wi-Fi) | Surface Go 2 (LTE) |
コレクション | Pentium Gold Processor | Pentium Gold Processor | Core M Processor |
開発コード名 | Kaby Lake | Amber Lake | Amber Lake Y |
リソグラフィー | 14 nm | 14 nm | 14 nm |
コア数 / スレッド数 | 2 / 4 | 2 / 4 | 2 / 4 |
動作周波数(ベース) | 1.60 GHz | 1.70 GHz | 1.10 GHz |
動作周波数(最大) | - | - | 3.40 GHz |
Turbo Boost | × 非対応 | × 非対応 | ○ 対応 ( 2.0 ) |
キャッシュ | 2 MB | 2 MB | 4 MB |
Smart Cache | ○ 対応 | × 非対応 | ○ 対応 |
TDP | 6 W | 6 W | 5 W |
対応メモリ | LPDDR3-1866 DDR3L-1600 | LPDDR3-1866 DDR3L-1600 | LPDDR3-1866 DDR3L-1600 |
最大メモリ帯域幅 | 29.8 GB/s | 29.8 GB/s | 33.3 GB/s |
グラフィックエンジン | Intel HD Graphics 615 | Intel UHD Graphics 615 | Intel UHD Graphics 615 |
最大周波数 | 850 MHz | 850 MHz | 900 MHz |
OpenGL 対応 | 4.4 | 4.4 | 4.5 |
拡張命令セット | Intel SSE 4.1 | Intel SSE 4.1 | Intel SSE 4.1 / SSE 4.2 Intel AVX 2 |
希望小売価格 | $ 161.00 | $ 161.00 | $ 281.00 |
Wi-Fiモデルに搭載されている Pentium Gold プロセッサは、以前と大きな違いが見受けられません。
それどころか、従来のモデルには搭載されていた Smart Cacheに非対応となってしまい、パフォーマンスが落ちる懸念さえあります。
旧モデルは 7年前の MacBook Airと同様のパフォーマンスでしたので、新製品ながらも型落ち感が否めません。
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多くが失敗する Surface Go と 満足できる唯一の条件
対して、LTEモデルに搭載されている Core M プロセッサは、多くの点で優れていることが分かります。
2倍のキャッシュサイズや 優れたグラフィック能力。幅広い拡張命令セットによって、マルチメディアな処理にも期待が持てます。
Pentium Goldとの根本的な違い
Core M プロセッサの決定的な強みは、Turbo Boostの対応にあります。
Surface GoのようなコンパクトPCは 放熱処理に制限がある為、動作周波数に制限がありました。
例えば、上限が 100℃だった場合、4コアなら 1コア 25℃までといった しきい値が設定されます。※
※ 正確には熱設計電力(TDP)の話であり、実際の処理は複雑ですが、ここでは分かりやすさを優先して解説しています。
しかし、実際の運用では すべてのコアが同時に 25℃まで達することは少なく、CPUの全力を発揮することができません。
そこで、全体で 100℃を超えていない場合は、それぞれのコアが しきい値を超えて良いという仕組みが Turbo Boostです。
その結果、どこまで負荷がかかっても 1.70GHzどまりの Pentium Gold プロセッサに対して、Core M プロセッサは 3.40 GHzまで動作周波数を向上させることができるのです。
2倍近い差のあるベンチマーク結果
次は、ベンチマーク結果を比べてみましょう。
Wi-Fiモデルと LTEモデル、それぞれに搭載されている CPUと、旧モデルの Surface Go。また、LTEモデルと同等のスコアを出しているパソコンも参考としてグラフ化しました。
Pentium Gold プロセッサから比較すれば、Core M プロセッサの性能差は明らか。Multi-Core時は 1.7倍、Single-Core時は 2倍近いスコアを叩き出しています。
公式からは、前世代に比べて 64%の性能が強化された
とアナウンスされていますが、過大評価ではなさそうです。
これは先述した Turbo Boostの恩恵です。
特に Core m3-8100Yに搭載されている Turbo Boost 2.0は、特定コアに負荷が集中した場合に “限界突破”が行えるため、より高いパフォーマンスを発揮できるのです。
同じ 8GB/128GBモデルで比較した場合、Wi-Fiモデルと LTEモデルの価格差は 2割程度。
これだけ圧倒的な差があるのであれば、明らかに LTEモデルの方が快適で、長く利用できる見込みがあります。
しかし、Core M プロセッサのスコアを持ってしても、2016年のパソコンと同等のスコアであることに注意。Core M プロセッサの搭載によって 大きく改善されたのは確かですが、過度の期待は禁物です。
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CPU以外にも潜む Wi-Fiモデルの弱点
Wi-Fiモデルと LTEモデルの違いを、主に CPUの観点から比較してみましたが、いかがでしたでしょうか。
もちろん CPUだけでパフォーマンスが決まるワケではなく、メモリや ストレージも大きく影響します。
例えば、メモリ容量が不足すると、SSDなどのストレージ側に容量を求めてきます(スワップアウト)。
ストレージはメモリに比べて非常に低速なので、頻繁にストレージに読み書きが行われると、それだけパソコンの反応が悪くなります。
Wi-Fi/64GBモデルの Surface Goは、ストレージが eMMCと呼ばれる低速なタイプ。4GBの時点でメモリ容量が溢れやすい上に、ストレージも仕事が遅いという罠。
おまけに、スワップアウトの処理は CPUにも負荷がかかる為、低速な CPUにさらに負荷がかかってしまい、ますますパソコンが重くなると言う三重苦です。
これは初代の Surface Goも同様の構成になっており、「遅すぎる」といった意見と、「それなりに使える」と意見が分かれていた原因でもあります。
実際、4GBモデルと 8GBモデルのストレージ速度には 5倍以上の差があり、「遅すぎる」とレビューしていた方の多くは 4GBモデルの Surface Goを購入しているようでした。
この仕様は、新しい Surface Go 2でも同様。引き続き、Wi-Fi/64GBモデルには、低速なストレージ(eMMC)が採用されています。
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多くが失敗する Surface Go と 満足できる唯一の条件
…と言うことで、Surface Go 2に、新しく採用された Core M プロセッサの魅力。および。メモリやストレージといった観点からも、LTEモデルを購入することを推奨します。
ただ、Surface Goは 非常に独特のモデルです。
同じ価格帯で もっと良いスペックのパソコンが購入できてしまう為、そもそも Surface Goを選択する必要があるのかは再検討してみることも重要です。