XF50mmF1.0 レビュー
XF56mmF1.2 愛用者から見る XF50mmF1.0 との違い

紆余曲折がありながら、ついに発表された XF50mmF1.0 R WR

Xシリーズのアイコニックな立ち位置である事は確かですが、XF56mmF1.2 Rという素敵なレンズが発売しており、F値に 1段分の差もありません。
さらに、アポダイゼーションフィルターを搭載した XF56mmF1.2 R APDも存在しており、こちらも “柔らかく美しいボケ味を生み出す”と謳われ、似たようなレンズが 50mm近辺に集中しているように見受けられます。

さっそく品薄となっている XF50mmF1.0 R WRですが、無事に発売日に購入することができたので、それぞれのレンズを比較して違いを明確にしたいと思います。

XF56mmF1.2 愛用者から見る XF50mmF1.0 との違いのメインビジュアル
「XF56mmF1.2 R」と同じような画角、明るさの違いも 1段未満。同じようなスペックにも関わらず、価格も重量も 2倍以上。「XF50mmF1.0 R WR」の特徴はどこにあるのか。

もくじ

まずはそれぞれのレンズの特徴を確認し、それぞれの観点で深掘りしていきたいと思います。

尚、XF50mmF1.0が発売されるまでの経緯は、以下の記事にまとめてあります。

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各レンズの仕様を確認

まずは 3つのレンズの仕様のおさらいから。

XF56mmF1.2 RXF50mmF1.0 R WRの仕様比較表
型番XF56mmF1.2 R APDXF56mmF1.2 RXF50mmF1.0 R WR
発売日2014/12/112014/02/222020/09/24
希望小売価格オープンオープン200,000円
参考価格(Amazon)160,000円101,000円180,000円
レンズ構成8群 11枚8群 11枚9群 12枚
└ 非球面レンズ1枚1枚1枚
└ 異常分散レンズ2枚2枚2枚
焦点距離(換算)f=56mm(85mm相当)f=56mm(85mm相当)f=50mm(76mm相当)
最大口径比F1.2F1.2F1.0
最小絞りF16F16F16
絞り羽根枚数7枚(円形絞り)7枚(円形絞り)9枚(円形絞り)
最短撮影距離70cm70cm70cm
最大撮影倍率0.09倍0.09倍0.08倍
モーター方式DCコアレスモーターDCコアレスモーターDCコアレスモーター
防塵防滴× 非対応× 非対応○ 対応
外形寸法ø73.2 x 69.7mmø73.2 x 69.7mmø87 x 103.5mm
質量405g405g845g
フィルターサイズø62mmø62mmø77mm

XF50mmF1.0 R WR防塵防滴性能を備えているため、野外などでのポートレート撮影が多い場合は有効です。ただし重量がある為、移動を伴う撮影の場合は XF56mmF1.2系の方が無難そう。

それ以外に大きな機能差があるようには見えません。
特殊レンズの構成も変わらず、最短撮影距離も 70cm。採用しているモーター方式も同様のため、仕様表からは明確な違いを読み取ることができません。

XF56mmF1.2 R と比べると、倍以上の重量となる XF50mmF1.0 R WR ですが、持ってみた感じは無理のないサイズ感。
XF56mmF1.2 Rと比べると、倍以上の重量となる XF50mmF1.0 R WR。実査に手にしてみると、そこまで無理のないサイズ感。
1枚目が 凹レンズタイプ。FUJIFILMの方に聞いたところ、より多くの光をレンズ内に集めているんだとか。
1枚目が 凹レンズタイプ。FUJIFILMの方に聞いたところ、より多くの光をレンズ内に集めているんだとか。

各レンズの違い(結論)

3本の違いはなんでしょうか。
端的に言葉で示すのであれば、以下になるかと思います。

各レンズの大まかな違い
XF56mmF1.2 R APDキレとボケのコントラストを楽しむコンパクトレンズ
XF56mmF1.2 Rコスパに優れた ポートレート定番レンズ
XF50mmF1.0 R WR美しく味わいのあるボケを追求した大口径レンズ

より違いのイメージを掴みやすいよう、項目別の比較表も作成してみました。

ボケの種類や機能別に比較する 各レンズの違い
 XF56mmF1.2 R APDXF56mmF1.2 RXF50mmF1.0 R WR
解像力○ 高い○ 普通○ 柔らかい
ボケの柔らかさ◎ 柔らかい△ 普通○ 柔らかい
ボケの綺麗さ○ 普通△ 輪線ボケ◎ 綺麗
明るさ△ F1.7相当○ F1.2◎ F1.0
AF速度× より遅い△ 遅い○ 普通
重量○ コンパクト○ コンパクト× 重い
防塵防滴× 非対応× 非対応○ 対応
価格× 高い○ 比較的安い× 高い

この 3本の中では、コンパクトで求めやすいのが XF56mmF1.2 R
非常にコストパフォーマンスに優れており、Xシリーズでポートレートを撮影するならマストバイの定番レンズです。

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XF50mmF1.0 R WRは “F1”という分かりやすいキーワードに踊らされがちですが、フルサイズで言えば 85mm F1.4相当。そこまで希少な存在ではありません。

それに、通常の撮影において F1開放で撮り続けることは滅多にありません。

夕暮れ時など光量が不足する状況では F1の強みを活かせそうですが、口径差よりも ボケの質に注目すべきです。
柔らかなボケを求めアポダイゼーションフィルターを利用するか、綺麗なボケを求めて巨大な大口径レンズを持ち歩くか。これらのポイントを より深掘りすることで、各レンズの違いが見えてきます。

違いを深掘り(解像力)

XF50mmF1.0 R WRでは解像力を適度に抑える事で、ボケのエッジが立ちすぎないように調整しています。

ボケの柔さかと、解像力の高さ(キレ)は、相反する状態となります。
解像力を高めてしまうと(球面収差などを補正してしまうと)、後ボケの光量が変動していまい二線ボケや輪郭の強いボケの原因となるからです。

解像度を求めるが故にボケの輪郭が強くなってしまった XF56mmF1.2 R(f2.0で撮影)。キラキラとした表現をする際には悪くないのですが、場合によっては二線ボケやザワついたボケにも繋がってしまいます。
解像度を求めるが故にボケの輪郭が強くなってしまった XF56mmF1.2 R(f2.0で撮影)。キラキラとした表現をする際には悪くないのですが、場合によっては二線ボケやザワついたボケにも繋がってしまいます。

そこで XF56mmF1.2 R APDではアポダイゼーションフィルターを搭載し、課題となっていた輪郭を物理的に改善。ボケのエッジをなだらかにし、ボケを柔らかくすることに成功しました。

XF56mmF1.2 R APD から、少しずつ解像力が落ちていることが分かります。APDはフィルターによって絞り込まれている状態となるため、無印よりも解像度が高めになります。
XF56mmF1.2 R APDから、少しずつ解像力が落ちていることが分かります。APDはフィルターによって絞り込まれている状態となるため、無印よりも解像度が高めになります。

MTF特性曲線を確認すると、XF50mmF1.0 R WRが意図的に解像度を落としていることが見てとれます。
「解像力」という観点だけで言えば、XF56mmF1.2系の方が優れている事が分かります。

実際、富士フイルムの上野氏も「XF56mmF1.2 Rは開放からシャープな描写となる設計としている。そのため、後ろボケが固くなっている。」という説明をしていました。

抜けの良さを確認する低周波側の MTF特性曲線。ボケも低周波側であり、ボケの質が垣間見れます。XF50mmF1.0 R WR が低めに抑えられていますが、線が重なり合っており収差の少ないボケであることが期待できます。
抜けの良さを確認する低周波側の MTF特性曲線。ボケも低周波側であり、ボケの質が垣間見れます。XF50mmF1.0 R WRが低めに抑えられていますが、線が重なり合っており収差の少ないボケであることが期待できます。

他のレンズと比較すると、同心円方向(S)と 放射方向(M)の乖離が少ないことに気がつきます。

あえて解像力を抑えている XF50mmF1.0 R WRですが、レンズそのものが丁寧に設計されていることが分かります。乖離が少ない(特性が揃っている)ことは、コマフレアや非点収差が抑えられている可能性が高く、良好なボケ味であることが期待できます。

違いを深掘り(ボケ)

XF56mmF1.2 Rは非球面レンズを採用しているが故に、輪線ボケ(玉ねぎボケ)が目立ちます。
アポダイゼーションフィルターを搭載した XF56mmF1.2 R APDでも、輪線ボケの解決には至りませんでした。

三脚を利用し、同じ場所から同じ光源を撮影して比較。RAWで撮影したものを、違いが分かりやすいようにモノクロ(ACROS)で現像しています。
三脚を利用し、同じ場所から同じ光源を撮影して比較。RAWで撮影したものを、違いが分かりやすいようにモノクロ(ACROS)で現像しています。

さっそく 3本のレンズで同じ光源を撮影し、玉ボケを比較してみました。

中心の XF56mmF1.2 Rは、年輪ボケの他にも、解像力を優先するがあまりボケのエッジが目立ちます。背景がザワついてしまう原因となります。

左の XF56mmF1.2 R APDは、物理的なフィルターを搭載しているだけあって、非常に滑らかなボケが実現できています。ただし、XF56mmF1.2 R同様、中心に年輪ボケが残ります。

対する右側の XF50mmF1.0 R WRは、エッジや年輪ボケも目立たず、フラットで均一な玉ボケです。

XF50mmF1.0 R WRにも非球面レンズが採用されているのですが、極めて精密な加工を採用することで、年輪ボケの発生を徹底的に抑制。ソニーの超高度非球面XAレンズのような技術でしょうか。

XF56mmF1.2 R(f2.8で撮影)。開放では口径食が発生してしまい、絞ってしまうと 7角形になってしまう悩ましさ。尚、これくらいのボケ量であれば、輪線ボケは気になりません。model : Yu-Ka
XF56mmF1.2 R(f2.8で撮影)。開放では口径食が発生してしまい、絞ってしまうと 7角形になってしまう悩ましさ。尚、これくらいのボケ量であれば、輪線ボケは気になりません。model : Yu-Ka

また、絞り羽根の増加によって、ボケの形も改善されます。

XF56mmF1.2系は、絞り羽根が 7枚しか無いために多角形のボケが目立ちますが、XF50mmF1.0 R WRでは 9枚に増加。絞り込んだ状態でも、より円形に近いボケを得ることができます。

作例 (順次追加予定)

作例は順次追加していく予定です。

XF56mmF1.2 R ISO500 56mm f/1.2 1/60s @有楽町 ここまで大きくぼかすと、ぼけのエッジや 輪線ぼけが目立ってきます。
XF56mmF1.2 R ISO500 56mm f/1.2 1/60s @有楽町

ここまで大きくぼかすと、ぼけのエッジや 輪線ぼけが目立ってきますが、そこまで神経質になるほどではありません。

まとめ

左から XF33mmF1 R WR / XF50mmF1.0 R WR / XF56mmF1.2 R 。2018年に発表され XF50mmF1.0 R WR の原型となった「XF33mmF1 R WR」。こうして比べてみると XF50mmF1.0 R WR が充分コンパクトにまとまっているように感じます。
左から XF33mmF1 R WR / XF50mmF1.0 R WR / XF56mmF1.2 R。2018年に発表され XF50mmF1.0 R WRの原型となった「XF33mmF1 R WR」。こうして比べてみると XF50mmF1.0 R WRが充分コンパクトにまとまっているように感じます。

いかがでしたでしょうか。

同じようなレンズが発売されたと言われがちですが、XF56mmF1.2 Rを愛用している身からすると、随分と性格が異なるレンズであることが分かります。

個人的なオススメは、引き続き XF56mmF1.2 R
上記で記載した輪線ボケなども言うほど気にはなりませんし、価格以上の満足度を得られること間違いなしです。

それでも 20万程度の出費がしたい!という方は、XF56mmF1.2 R APDXF50mmF1.0 R WRに幅を広げることになるかと思います。

  • APD搭載のメリデメを受け入れながら、キレとボケのコントラストを楽しむ場合は XF56mmF1.2 R APD
  • APS-Cの機動性を活かしながら、画質と価格の程よいバランスを求める場合は XF56mmF1.2 R
  • 重くても高くても問題ない。少しでも綺麗で柔らかなボケを求める場合は XF50mmF1.0 R WR

…となるでしょうか。

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岩崎の場合は、引き続き XF56mmF1.2 Rを常用レンズとしつつ、撮影イメージが明確な場合(持ち歩くレンズが少ない場合)に XF50mmF1.0 R WRを利用するという運用になりそうです。
845gは 首がもげそうですし、カメラ本体よりも重いので 持ち歩くのもひと苦労ですしね。

XF50mmF1.0 R WRは発売日に届く予定ですので、また作例が貯まり次第、こちらの記事も反映させていただこうかと思います。

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